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「雨の日は頭が痛くなる」
「梅雨時になると古傷が痛む」など、天気に影響されて痛みが出る“天気痛”。会社や学校に行けないほどつらくても、天気がいい日には症状が出ないため、人からは理解されにくいのもつらいところ。薬に頼らず天気痛を改善するツボ療法やお役立ちグッズをご紹介します。
“天気痛”ってなに?
“気象病”は天気の変化によって起こる不調の総称。
「季節の変わり目になると風邪をひく」
「天気が悪くなるとめまいや耳鳴りがする」
「日が短い冬場になると気分がふさがる」
など、気温や湿度、日照時間などによって、さまざまな症状が現れます。
その気象病の中で、偏頭痛や関節痛などの痛みの症状が強く出るのが“天気痛”です。
「雨の日には頭が重い」
「台風が来るとひざが痛む」
「雨が続くと首や肩のコリが悪化する」
程度の差こそあれ、思い当たる方も多いのではないでしょうか?
天気痛の原因と対処
以前は迷信のように思われていた天気痛ですが、現在では少しずつ研究が進み「気圧の変化」が痛みを起こす大きな要因になることがわかってきました。
そのポイントとなるのが「耳(ないじ)」。内耳が敏感な人や、慢性の痛みやストレスで自律神経が乱れやすくなっている人は、気圧の変化によって交感神経が異常に興奮し、痛みを感じやすくなると考えられています。
天気痛のツボ&マッサージ
天気痛の治療でおすすめなのがツボ療法です。
内耳は聴覚と平衡感覚に関連する部位。そのため内耳の働きと直結する、乗り物酔いやめまいに効くツボやマッサージが天気痛の予防・緩和にも効果的なのです。
私は子供の頃、乗り物に弱く、遠足でバスに乗るたびに乗り物酔いをしていました。そんな私にある日、近所の釣り好きのおじさんが教えてくれたのが手首にある“酔い止めのツボ”でした。
天気痛にもストレスにも
即効のツボ“内関”
天気痛の緩和と予防におすすめのツボは「内関」です。
内関の大きな働きは、自律神経の働きを整えること。鍼灸治療では乗り物酔いやめまいの治療の他、ストレスが関係する胃腸の不調、パニック障害、うつ症状、慢性痛の緩和など、幅広い心身のトラブルに使われています。
自律神経と内耳に働きかける
見つけ方:
手首の内側のしわの中央から、指三本分(人差し指、中指、薬指)ひじ寄り。手首の中央から伸びる太い2本の腱の間
天気痛緩和のための刺激法:
腱と腱の間に、刺激が伝わるように指をゆっくりと押し込みながら、響く場所を見つけます。深呼吸をしながら1分ほど、ゆっくり押したり離したりを繰り返します。
冷えを感じる方は、お灸が効果的です。
日本で唯一の「天気痛外来」を解説した天気痛ドクター・佐藤純先生によると、天気痛の予兆を感じたときが内関を刺激するタイミングとのこと。(佐藤先生はこのタイミングでの抗めまい薬の服用も勧めています。)
内関は即効性があるツボで、緊張して胃がキリキリと痛んだり、吐き気がするようなときに刺激をすると、その場で症状を緩和してくれます。痛みが来そうだと感じたときに、内関を刺激することで、痛みの増幅を抑えることができます。
内関にはゆっくりとした効き目もあります。普段からストレスを抱えている人は、予防的に毎日1~2回、内関を刺激するのもおすすめです。
内関を刺激する「酔い止めバンド」
内関は昔から、乗り物酔いや吐き気に効くとツボとして知られ、釣り道具屋さんでも内関を刺激する「酔い止めバンド」が売られていました。いまでは旅行やドライブ、マリンスポーツはもちろん、つわりの症状の緩和にも利用されています。
佐藤先生が監修した「天気痛ブレス」も商品化されています。「酔い止めバンド」というキーワードで検索すると、さまざまなデザインのものが出ています。
構造はどれも同じで、手首にはめるバンドに、内関を刺激する突起物がついています。もちろん、指での刺激でも十分ですが、忙しくてつい予兆を見逃しがちになる人は、”痛みを予防するためのリマインド“として、手首につけておくのもいいかもしれませんね。
まとめ
自分では変えられないお天気ですが、天気痛のしくみや対処法を知り、痛みのコントロールすることで、気持ちもだいぶ楽になるはず。
天気痛のメカニズムについては佐藤純先生の著書『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療法』(光文社新書)にくわしく説明されています。
難しい本を読むと頭が痛くなるという人は『まんがでわかる天気痛の治し方 気圧による不調をズバッと解決!』(イースト・プレス)がおすすめです。
天気が悪くなると調子が悪くなる人は、ぜひ一度読んでみてください。
次回は天気痛解消のための「内耳を守る耳マッサージ」をご紹介します。
参考図書:
『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療法』(光文社文庫)
『まんがでわかる天気痛の治し方 気圧による不調をズバッと解決!』(イースト・プレス)
『気象病 天候が健康を脅かす』(生活人新書)
『その症状は天気のせいかもしれません』(医道の日本社)
国際鍼灸医師・国際薬膳師・健康美容コミュニケーター・養生文化研究家
鳴海美紀(なるみみき)さん |
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1997年北京中医薬大学に留学し、国際鍼灸医師、国際薬膳師を取得。さらにタイやスリランカ等アジア諸国の伝統医学を幅広く研究。帰国後は漢方・薬膳セミナー、美容サロンのメニュー作成・技術指導、店舗への薬膳レシピ提供、テレビ番組の企画、健康記事の執筆・監修などを通じ、東洋医学をベースとしたインナービューティ&ヘルスを提唱。 |
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