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ドラッグストアにずらりと並ぶ白髪染め商品。
CMやパッケージのイメージだけで選んでいませんか?
安易に選ぶと思わぬトラブルを起こしてしまうかもしれません。正しい知識とリスクをおさえることが大切です。
では、白髪染めにはどのようなものがあるのでしょうか。
白髪染めは大きく分けて以下のふたつに分類されます。
- 永久染毛剤(酸化染毛剤など)の「医薬部外品」
- 半永久染毛料(酸性染料、HC染料、塩基性染料など)の「化粧品」
髪の毛を染めるしくみ(日本化粧品工業連合会)
髪を染めるしくみが異なり、それぞれメリットとデメリットがあります。
もっとも大事なのは、お肌との相性。
そのうえで、白髪の割合や場所、染めるときの使い勝手など、自分の髪と目的に合ったものを選びましょう。
白髪染めの種類と、メリット・デメリット
一般的に、医薬部外品は1回できれいに仕上がって色持ちしますが頭皮や肌へのダメージが大きく、化粧品は染まり方が薄く色持ちしないかわりにダメージが少ないです。
具体的にいくつかの白髪染めの種類と、メリット、デメリットを見ていきましょう。
【ヘアカラー/ヘアダイ】(医薬部外品)
脱色剤で髪のメラニン色素を分解し、髪の内部に染毛剤を浸透させて色を入れます。
黒髪も白髪も均一に染まります。色持ちがよく、2~3ヵ月ほどもちます。
〇 メリット
・ムラなくきれいに仕上がり、髪にしっかりと色が定着する。
・色が豊富で、自分の髪に合った色を選べる。
✕ デメリット
・頭皮への負担があり、ジアミンアレルギーなど、酸化染毛剤へのアレルギー反応で肌がかぶれる可能性がある。
・染めているところと新しく生えてきたところの境界線が目立つ。
・キューティクルをひらいて内側に色を入れることで、髪にダメージを与えてしまう。
【ヘナカラー】(化粧品)
ミソハギ科の木の葉をすりつぶして粉末にしたもので、空気にふれることで発色します。水やぬるま湯でとかし、ペースト状にしたものを髪に塗ります。脱色作用はなく、黒髪は染まりません。
市販商品にはヘナと化学染料を混ぜたものもあるので、表示をよく確認してください。
〇 メリット
・天然成分100%なので、髪と頭皮へのダメージがない。
・髪を染めるだけでなく、頭皮の汚れや脂を吸着する効果がある。
・ヘナの色素がケラチンと結びつくことで髪を補修してくれる。
✕ デメリット
・染まり方は薄く、色はオレンジのみ(インディゴというハーブを混ぜてブラウンにできる)。色が定着するまで数日はタオルや衣服へ色移りすることがある。
・特有の強い原料臭があり、染まるのに1時間ほどかかる。
・慣れるまで髪のごわつき、ぎしぎしを感じることがある。
【ヘアマニキュア】(化粧品)
髪の表面と表面近くを染料でコーティングします。色持ちの期間は3~4週間ほどです。
〇 メリット
・自然な仕上がりで、白髪が伸びてきても境界線が目立ちにくい。
・表面をコーティングすることで髪にツヤがでる。
頭皮への負担が少ない。
✕ デメリット
・地肌に薄く色がついてしまうことがある。
・黒髪を明るくすることはできない。
【ヘアカラーシャンプー/ヘアカラートリートメント】(化粧品)
シャンプーやトリートメントに弱酸性~アルカリ性の染料を配合したものです。白髪の表面に色素が少しづつ蓄積して髪が染まります。色持ちは1週間ほどです。
〇 メリット
・毎日の入浴時に使えるので手間がはぶけ、使用時間も5~10分と短い。
・徐々に染まるので、周りから気づかれずに自然に染められる。
・頭皮、髪へのダメージの心配がなく、素手で使える。
✕ デメリット
・髪が染まるまでに日にちがかかる。色持ちもしないため、長期間使い続けなければいけない。
・お風呂場の床や壁に色がついてしまうことがあり、掃除がめんどう。
・黒髪は染まらない、髪全体を明るくすることはできない。
【ヘアマスカラ/ヘアスティック】(化粧品)
髪を染めるのではなく、毛髪着色料で表面に色をのせます。生えぎわや頭頂部など、おでかけ前に気になるポイントだけ隠せます。1~2日しか色持ちしません。
〇 メリット
・スティック状や小さなブラシ状になっているので使いやすい。
・髪へのダメージなく、手軽に使える。
✕ デメリット
・シャンプーでほぼ色落ちする。強い雨の日などは注意が必要。
・あくまで部分的な白髪隠し用で、全体を着色するのは不向き。
美容院で染めてもらう場合は、美容師さんの得意、不得意もあるので、希望するメニューがあるか確認しておき、頭皮の状態を見てもらいながら相談してください。
知らずにやっていませんか?白髪染めアレコレ
「余った白髪染めで眉を染めてもいい?」
髪の色と合わせたいから、もったいないからと、白髪染めを眉毛など他の部位に使うのはやめましょう。目のまわりは皮膚が薄く、頭皮より敏感でかぶれやすいです。また、薬剤が目に入るキケンもあります。
「黒髪用のヘアカラーを白髪染めに使える?」
黒髪用のヘアカラーは脱色力が強く、白髪染め用のヘアカラーは染毛力が強くなっています。
そのため、黒髪用では白髪がしっかり染まらず、きれいな仕上がりになりません。
「美容院のヘアカラーと自宅の白髪染め、併用していい?」
髪の根もとが白くなってきても、お金と時間のかかる美容院へ頻繁に行けないものです。
自宅で白髪染めをしている時は、必ず美容師さんに使っている商品を伝えましょう。
成分によってはパーマ剤やカラー剤と化学反応を起こし、青や緑に発色してしまう可能性があります。
軽い気持ちでやっていることが、大きな後悔を生むかもしれません。
白髪染めは、本来の用途のみに正しく使いましょう。
白髪染めの前に、「パッチテスト」をしましょう!
商品を決めて、いよいよ白髪染め。その前に必ずやってほしいことが、皮膚アレルギー試験(パッチテスト)です。
皮膚科でおこなうのがベストですが、簡易的な方法で自宅でもテストできます。
[パッチテストの方法]
テスト剤を腕の内側に塗って自然乾燥し、30分後、48時間後の経過を見る。
30分後は即時型アレルギー反応、48時間後は遅延型アレルギー反応。
テスト中は絆創膏などで覆わないようにする。
テスト中でも、赤み、発疹、かゆみなど少しでも異常があれば洗い流してください。
詳しい方法はこちらにも紹介されています。
皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の手順-動画-
(日本ヘアカラー工業会)
「肌は丈夫だから」「植物成分100%だから」「前にも使ったことがあるから」という場合でも、必ず行ってください。
植物成分でもアレルギーはありますし、今まで使っていた成分が体質の変化で合わなくなっている可能性もあります。特にジアミンアレルギーは発症すると治ることはないといわれています。
頭皮がかぶれてしまうと白髪染めどころではありません。少し面倒かもしれませんが、大切な肌と髪を守るためです。ストレスなくおしゃれを楽しむためにパッチテストをするようにしましょう。
まとめ
いまは、ノンジアミンカラー、アルカリカラー、香草カラーなど、選択の幅が広がっています。
正しい成分の知識を得るだけでなく、実際に肌に合うか確かめるようにしましょう。
「白髪隠し」なんていう言葉もありますが、隠すのではなく、自分らしくおしゃれを楽しむという気持ちで白髪染めを楽しみたいですね!
by 美髪研究所編集部 | |
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