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コーヒーや緑茶は本当に体を冷やす? ~美髪のための養生のすすめ⑪~
今回と次回は連続で「体を温める飲み物」「体を冷やす飲み物」についてご紹介します。
食べ物に体を温めるものと、冷やすものがあるということは、テレビや雑誌などでもよく紹介され、みなさんもご存知だと思います。
例えば、トマトやキュウリなどの夏野菜や、マンゴーやパイナップルなどの南国のフルーツには、体を冷やすものが多い。たまねぎやニンジン、カブといった、寒くなると甘味を増す冬野菜には、体を温める働きがある。といった具合です。
では、飲み物は?
毎日飲んでいるコーヒーや紅茶、緑茶やウーロン茶などには、どんな働きがあるのかご存知ですか?
飲みものは365日同じもの?
四季のある日本では、季節ごとに旬の食べ物が出回ります。
春には山菜やたけのこ、夏はスイカやニガウリ、秋には栗やさつまいも、冬にはたっぷりの白菜で鍋料理など。季節の味を楽しんでいると、自然にバラエティ豊かな食材を摂ることになります。
いっぽう、飲み物はというと、夏にはアイスコーヒーや冬にはホットコーヒーと温度を変えるくらいで、季節によって飲み物の種類を変えるという方は少ないのではないでしょうか?
一年を通して、毎日の生活に溶け込んでいる飲み物こそ、その性質をきちんと知って、体調管理に役立てて欲しいと思います。
コーヒーは体を冷やす? 体をあたためる?
まず、気を付けたい飲み物がコーヒーです。
豊富なポリフェノールがもたらす多くの健康効果が注目されていますが、コーヒーは「体を温める」のでしょうか?それとも「体を冷やす」のでしょうか?
これには諸説ありますが、私の結論は「コーヒーは体を冷やす飲み物」です。
熱いコーヒーを飲んだ時には、体が温まるような気がします。
でも、それはカフェインの「覚醒作用」や「興奮作用」による一時的な感覚。本来、カフェインには血管を収縮する働きがあります。
毎日、何杯もコーヒーを飲んでいる人にとっては、長期的にみると、コーヒーは体を冷やしてしまう飲み物だと言えるでしょう。
冷え性の人にコーヒーはNG?
では、冷え性の人にコーヒーはNGなのでしょうか?
冷えが本当にキツイ方は、やはり冬場のコーヒーは控えるべき。でも、好きなものを我慢して、ストレスが溜まるようでは、元も子もありません。
そんなときには、温性の黒砂糖を加えたり、シナモンコーヒーなどのフレーバーコーヒーにして、冷やす性質を弱めましょう。
【最強のあたためスパイス・シナモン】
冷え性対策に、とくにおすすめのスパイスがシナモンです。
シナモンは、一般の方が入手しやすいものの中で、体を温める作用がもっとも強い食材。「大熱」の性質があり、「肉桂」という名前で体を温める漢方薬としても使われています。
冷え性対策に人気の「生姜」よりも温める力が強いのが、生姜を乾燥・加熱した「乾姜」。この乾姜の性質は「熱」。「大熱」のシナモンがいかにパワフルな温め食材かがわかると思います。
【シナモンコーヒーの作り方】
シナモンコーヒーの作り方は簡単です。コーヒーにシナモンパウダーを振ったり、シナモンスティックでかき混ぜるだけ。
コーヒーよりもカフェオレが好きな方は、冬場はシナモンをたっぷり振ったカプチーノに変えてみてはいかがでしょうか。
スターバックスやタリーズなどには、無料のシナモンパウダーが置いてあります。
季節や体調に合わせて自分で増量&アレンジするのもいいですね。
ただし、薬効の高いシナモンは、摂り過ぎに注意が必要です。
一日の摂取量は小さじ1/3、1g程度で十分。多くても小さじ1杯3g程度までに。もし異変を感じたら、使用を控えましょう。
緑茶は体を冷やす? あたためる?
緑茶も体を冷やす飲み物だと言われていますが、これにも異論はあるようです。
「毎日、緑茶を飲んでいるけど、冷えなんか感じない」
「緑茶を飲むとリラックスして体が温かくなる」
私の結論は「やや涼」。 コーヒーほど、冷えを気にする必要はありません。
緑茶が体を冷やすという根拠のひとつに「カフェイン」があげられます。
「カフェインには血管収縮作用がある」のだから、緑茶もコーヒーと同様に体を冷やすだろう、ということです。
でも、コーヒーと緑茶には大きな違いがあります。それが「タンニン」と「テアニン」。
タンニンは緑茶の渋みの元、テアニンは甘味の元となる成分です。
緑茶にはコーヒーの1/3程度のカフェインが含まれていますが、「コーヒーを飲むと心臓がドキドキする」という人も、緑茶では大丈夫なのでは?
それは、タンニンとテアニンに、カフェインの作用を抑える働きがあるからです。
カフェインにどの程度反応するかは、個人差があります。頭でっかちになり過ぎず、コーヒーも緑茶も、自分の体と心がどう感じているのかを大切にしてください。
飲み方によっては体を冷やすことも
食べ物は、それ自体が持つ「温冷」の性質だけでなく、どのように食べるか(飲むか)ということも大切です。
こたつに入って、みかんを食べながら、温かい緑茶を飲む
仕事中に、お菓子を食べながら、ペットボトルの冷たい緑茶を飲む
リラックスできる環境で、「温性」のみかんと一緒に、温かい緑茶を飲めば、本来の「やや涼」の性質はほとんど打ち消されてしまいます。
逆にストレスのかかる環境で、「冷性」の甘いスイーツと、冷たい緑茶では、「涼」の性質が増強され、体を冷やしてしまうのです。
まとめ
コーヒーも緑茶も薬効がある「し好品」。
作用の強いコーヒーは「ランチにサービスで付いてくるから」「オフィスにサーバーがあるから」「どの店にもあるから」といった理由で飲むのはNGです。
冷えが溜まると、血行が悪くなり、頭皮にも栄養が運ばれにくくなります。
季節や体質に合った飲み物を楽しんで、ぜひ体調管理に役立ててください。
国際鍼灸医師・国際薬膳師・健康美容コミュニケーター・養生文化研究家
鳴海美紀(なるみみき)さん |
1997年北京中医薬大学に留学し、国際鍼灸医師、国際薬膳師を取得。さらにタイやスリランカ等アジア諸国の伝統医学を幅広く研究。帰国後は漢方・薬膳セミナー、美容サロンのメニュー作成・技術指導、店舗への薬膳レシピ提供、テレビ番組の企画、健康記事の執筆・監修 |
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